数刻後、二人はとある庵の中にいた。幻十郎が当座の寝床として使っている庵で、台所や厠もあるにはあるが、手入れされていないので荒れ放題になっている。 幻十郎は囲炉裏の脇に胡座をかいて座っていた。当然のように右手で刀を掴んでおり、左手は組んだ足の間にある何かを押え込んでいた。 「……んむぅ……ぐっ……ん……」 「何か」は、シャルロットの頭だった。幻十郎の前に跪き、股間に顔を埋めている。 二回目の性交が終わった後、シャルロットは幻十郎に引きずられるようにして、この庵に連れ込まれた。そのまま、口での奉仕を強制されていたのだ。 「ぐぅ……ぷはっ」 たまらず、シャルロットが顔を上げた。初めての行為ゆえ、不慣れだったこともあり、要領よく呼吸することもできなかった。屈辱に耐えられなかったこともある。 「誰がやめていいと言った。よしと言うまで続けろ」 幻十郎は無慈悲にシャルロットの髪を掴んで、自分の股間に押し付けた。赤黒い男性器を前に、彼女の心は崩れていく。 「……あむ……」 シャルロットはおずおずと、再びそれを口に含んだ。 「咥えたまま舌を使え。休まずにこすり続けろ」 幻十郎は掴んだシャルロットの頭を、ゆっくりと前後に動かす。いきり立つ怒張が、シャルロットの喉の奥まで侵入した。 「うぐぅ!……ん……」 あまりの苦しさに引き抜こうとしたが、やはり押さえつけられた。やむを得ず、指示とおりの行為を続ける。 「歯を立てたら、どうなるかわかってるな?」 それは確認だった。口での奉仕を強要された時点で、逆らったらどうなるかは知らされていた。 『つまらん真似をしたら、尻の穴を犯す』。幻十郎はそう宣言していた。それがどれほどの苦痛を屈辱を伴う行為なのか、正確には彼女にはわからない。だが、聞かされた時点でシャルロットの反抗心は根こそぎ奪われていた。 幻十郎の手の動きが、徐々に早くなっていった。口の中の逸物は、既にはちきれんばかりに膨張している。ちらりと幻十郎を見上げると、彼の顔が一瞬しかめられた。 「全部飲め」 短い宣告の直後、シャルロットの口内に熱い体液が放出された。 「うぶぅぅっ!」 喉に押し寄せるほとばしりを何とか受け止め、込み上げる不快感と一緒に必死で飲み下す。苦い味など何でもないが、被征服感が喉の奥を中心に広がっていくようだった。 (……私は……この男に支配されてしまったのか……) 脳裏に、覇王丸の豪快な笑顔が浮かんだ。もう二度と会うことはないだろう。剣士として出会った男であり、剣を通じて語り合った。剣を失った今の自分は、もう彼と語らうことはできない。 幻十郎の股間から顔を離したシャルロットは、打ちひしがれた面持ちで、のそのそと部屋の隅へと退いた。喉の奥が気持ち悪かったが、潤すための水もない。 「貴様は、しばらくここに留まれ」 唐突に、幻十郎が言った。 「……え?」 「何度も言わせるな、ここに留まれ。逃げようとしたらどうなるか、わかっておろうな。貴様のような女は目立つ。どこへ逃げても見つけ出すのは簡単だぞ」 「な……何故そんな……」 「そんなことを貴様が知る必要はない。それよりも…」 幻十郎は、シャルロットの全身を無遠慮に、じろじろと眺め回した。体中は土で汚れ、内股には生々しい鮮血の跡。顔には涙の跡や、飲み切れなかった精液がこびりついている。あまりにも薄汚れた自分の姿を見られ、シャルロットは唇を噛んだ。 「裏に小川がある。行ってこい」 そう言って、幻十郎は手ぬぐいをシャルロットに投げつけた。意表を突いた反応に受け取り損ね、手ぬぐいが床に落ちる。 「え……」 幻十郎は見張るつもりもないらしい。もっとも、衣類をすべて剥ぎ取られた今、シャルロットが見つからないように逃げるのは不可能だろう。剣も鎧も、そして貴族としての誇りも失った今のシャルロットには、幻十郎の支配を逃れる術もない。 「早く行け、死にたいのか?」 幻十郎に睨み付けられ、シャルロットはおぼつかない足取りで庵の裏手に向かった。 ちょろちょろと涼しげな音を立てる小川の岸に、シャルロットはそっと腰を下ろした。シャルロットはちらりと庵の方を伺った後、諦らめたようにため息をつき、ゆっくりと水に身を浸していく。 「……冷たい……」 水を含んだ手ぬぐいで顔をふき、続けて首、肩をふいていく。体についた土が洗い落とされると、自分の中の汚れも現れていくような感覚があった。しかし……。 「これは……」 胸をふいている時、その白い肌に幻十郎の指の跡を見つけた。それ以外にも、体の至るところに口付けの跡が残っていた。そして、自分が汚されたことを如実に物語る、下半身の血。幻十郎の行為は、シャルロットの体にしっかりと痕跡を残していた。 「落ちるはずもない……汚れ……」 ぽとり。水面に落ちた涙の雫が、川面に小さな波紋を作る。 「ふっ……ううっ……」 視界が涙で滲み、堪えきれずに声が漏れる。 「うう……くっ……ふううぅ……」 慌てて手で抑えたが、声はおさまらなかった。 「ふううぅ……うっ……うっ、うっうぅ……あああああああ……」 シャルロットは手ぬぐいで体をふきながら、声を上げて泣き続けていた。 「ふん、少しは見られるようになったか」 大き目の杯に注いだ酒を飲んでいた幻十郎は、小川から戻ったシャルロットに一瞥をくれ、吐き捨てるように言った。泣き声を聞いていたはずだが、それについては何も言わなかった。シャルロットはどうしていいかわからずに、胸と股間を手で隠したまま、所在なげに立ち尽くしている。傾けた杯の影から、舌打ちの音がした。 「獣と暮らす趣味はない。これを着ろ」 幻十郎が突き出した刀の先には、一枚の着物が引っかけられていた。その、薄紅色の着物を恐る恐る手に取って羽織り、帯を締める。が、着物の着方を知らないフランス人のこと、ひどく不格好だった。日本人の体格に合わせて作られた着物のせいか、寸法もまるで足りない。それでも、裸でいるよりはずっとマシだった。 「いつまでそうしているつもりだ?」 低い声で問い掛けられ、シャルロットはびくん、と全身を硬直させた。そして、精一杯の勇気を振り絞って訊ね返す。 「…次は…何をさせるつもりだ…?」 「ここに座れ」 幻十郎が、自分の隣を示して言った。もはや、シャルロットに反抗の意志はない。ゆっくりと幻十郎に歩み寄り、その隣に腰を下ろす。 「何を……」 言いかけたシャルロットの体を、幻十郎が突然、強く抱き寄せた。体勢を崩し、しなだれかかるように倒れこむ。慌てて離れようとしたシャルロットの体を、幻十郎の太い腕が抑える。 「なっ……」 「覇王丸は俺が殺す」 「!!」 幻十郎の言葉に、シャルロットの背筋が凍る。動揺を気取られるまいとするが、蒼ざめた表情がすべての努力を台無しにしていた。 「貴様の目の前で斬り殺すのも面白いな…」 杯の酒をあおり、幻十郎はシャルロットの着物の合わせ目から右手を差し込んだ。逃れようとする彼女を押さえつけ、豊かに盛り上がった乳房を無造作に掴む。 「や……」 「覇王丸の死体の前で抱いてやろうか?」 その場面を想像したのか、幻十郎の腕の中でもがいていたシャルロットの全身が硬直する。 「い、いや……やめて……ひっ!」 目を閉じて、切なげに首を振るシャルロットが、突然叫び声を上げた。幻十郎が、胸の先端を強く摘み上げている。 「い…痛いっ! やめて、引っ張らないで…」 涙混じりの哀願も聞こえないかのように、幻十郎はシャルロットの朱鷺色の乳首をこね回す。さらに膝で彼女の脚を広げながら、着物の裾を大きくはだけた。 「いやっ!」 鋭い拒絶の声。しかし、シャルロットの秘所は、彼女の感情に反してあっさりと幻十郎の指を受け入れた。 「は……あくっ!……だ、だめっ……」 ずぶり、と指を根元まで突き入れ、内壁をこする。それだけでシャルロットは行動の自由を奪われ、幻十郎の支配下に落ちた。幻十郎の脚の間に抱え込まれ、大きく広げた腿の間を思うさま蹂躪される。膝に抑えられて脚を閉じることもできないまま、シャルロットは耐え難い感覚に翻弄されていた。 「いや…いやぁ……もうやめて、お願い、許して……」 涙ながらに哀願するが、幻十郎の指は止まらない。やがて、シャルロットの秘所が粘ついた音を立て始めた。が、シャルロットには、その感覚が何を意味するのかわからなかった。自らの体が、男を受け入れる準備を始めたということが。ただただ恐れるだけだった。 「やめて、頭がおかしくなりそうなの! やっ! 怖い!」 「…覇王丸の首を晒したその前でも、貴様はこんな風に濡らすのか?」 「ぬ……濡らす?」 「淫乱女の証明よ。貴様の体が、男が欲しいと訴えておるわ」 「!……そんなはず……くああぁっ!!」 否定しようとしたシャルロットの声が、悲鳴に変わった。幻十郎が指を引き抜き、真っ赤に充血した肉芽をつまんだのだ。過去二回の性交において、幻十郎はほとんど愛撫をしていないため、肉芽を刺激されたのはこれが始めてだった。怒涛のように押し寄せる感覚に、シャルロットの全身がわなないた。 「は……ぐ……きゃああああああああ!!」 幻十郎は執拗に肉芽を攻めた。押しつぶし、引っ張り、こね回す。耐え切れなくなったシャルロットは、無我夢中で幻十郎にしがみつく。 「いやぁ……死んじゃう……死んじゃうぅっ!」 「死よりも甘美なものをくれてやる」 既に、シャルロットの秘所からは愛液が溢れかえっていた。幻十郎は自らの袴を払いのけ、シャルロットの両膝を抱えて持ち上げた。怒張を愛液に溢れる秘唇にあてがうと、わずかに腰を浮かせて侵入した。 「ひうっ!」 先端が入りこんだだけで、シャルロットは白い背中を反り返らせた。幻十郎は彼女の膝を抱えた腕を下げ、ずぶずぶと逸物を秘所に埋め込んでいく。 「あ…あうぅぅぅぅぅぅぅっ……」 シャルロットは、先ほどのように悲鳴をあげなかった。十分な愛撫があったせいで、潤滑油たる愛液が分泌されていたせいだ。痛みが和らぐと、今度は自分の下半身を中心とした、不思議な感覚に気が付いた。 (な……何、この感覚は……? 頭の中が、白くなる……) 意識が遠のきそうになる。しかし、幻十郎の言葉が彼女を現実に引き戻す。 「覇王丸が見たら何と言うかな」 「!!」 「覇王丸に破られたかったのだろうが?」 「…いや、言わないで……はうっ!」 反論しようとすると、一段と強く突き入れられる。 「教えてやるか? 貴様が俺の前に尻を差し出したことを」 「やめて……ううっ!」 「貴様が犬のように這いつくばって、俺のものを咥えていた姿を見せてやるか?」 「だめえっ……あぁうっ!」 「ふん……立て」 幻十郎は挿入したまま、シャルロットを立たせる。片足は抱えたままなので、彼女は大きく脚を開いての片足立ちを余儀なくされる。そのままシャルロットの体を壁際に押しつけ、立ったまま激しく突き入れた。幻十郎の逸物は、彼女の一番深いところまで突き上げる。 「覇王丸でなくて残念だったな。ほら、いくぞ!」 「いやぁ…あぐ! あう! はあっ! だ、だめぇぇぇぇぇ!」 押さえつけられたシャルロットの体に力がこもり、きゅうっと、くの字に曲がった。それとほぼ同時に、幻十郎は彼女の体内に放った。 |