9月にこんなネタを書いたわけですが、何やらこのキーワードで検索エンジンから飛んでいらっさる方がぼちぼち…。
ひょっとして無限ループ?
私がガソリンを必要とするライフスタイルになった当初から行き付けのガソリンスタンドがありました。
人の良さそうなご夫婦で経営されているらしい小さなガソリンスタンドです。私が専門学校に通っていた頃、HONDAのMonkey Bajaを親に借金して購入してからずっと通っておりました。雨の日も風の日も雪の日も、ガソリンが無くなればいつもそのスタンドで給油してました。
私の乗り物が珍しいせいもあってか、ご夫婦にはすぐに覚えられました。フルフェイスのヘルメットだったにもかかわらず顔まで覚えてらしたようで、学校を卒業して中古のスターレットに乗り換えた時もすぐにわかってくれました。
その後も何度か車を乗り換えるたびに軽い世間話をかわしたりしておりましたが、そのうちそのガソリンスタンドではアルバイト君が応対することが多くなり、あまりそのご夫婦と顔をあわせることも無くなっておりました。
そんなおり。
そのスタンドの現金会員カードが無くなっていることにふと気付きました。
最後にそこで給油した時、たしかめずらしくあのおじさんが応対してくれたことだけはかろうじて覚えているのですが、いかんせん肝心のカードを、受け取ってからどこに仕舞いこんだのかさっぱり思い出せません。
なんだか取り返しのつかないことになってしまったと思いました。
もうあのご夫婦にあわせる顔がないとまで思いました。
なんというか、
大切な思い出をうっかり無くしてしまったように思えたのです。
素直に「カードを無くした」と申し出れば済む話ではないか。
とは思うものの、なぜだかどうしても、そのスタンドに足を踏み入れることが出来なくなってしまいました。
ところが先日、うっかりもう1件の行き付けのスタンドで給油するのを忘れてしまったのです。
時期的にエアコンを多く使うので給油しないとちょいと不安な残量。
背に腹はかえられぬと、私は意を決してそのスタンドに、(私にしては)本当に久しぶりに入ってみることにしました。
時間帯的にちょうどアルバイト君が応対してくれることだし、と、心持ち緊張しながら車を滑り込ませます。
最初は当然「カードはお持ちですか?」と聞かれるのだろうとドキドキしながらその時を待っていました。
ところがアルバイト君、私が「レギュラー満タン」と言ったあとは当然のように、窓拭きからはじまるいつものサービスフルコースを淡々とこなして行きます。
なんだか狐に摘まれたような心持ちで落ち着かない時間を過ごしていると、アルバイト君が給油と一通りのサービスを終えてレシートを持って走ってやって来ました。
「レギュラー満タン入りまして、XXXX円になります。それと、前回カードを渡しそびれてしまって…。」
見れば見なれたあのカード。
なんのことはない、私が無くしたわけではなくて単におじさんが渡しそびれていたのです。
よもやそんなオチがついているとはつゆ知らず、気の動転した私はその後おつりを受け取り忘れて帰ってしまいそうになったのですが、まぁそれはさておき。
帰りの車中、対向車からはそれはうす気味悪いニヤケ顔の女が見えたり見えなかったりしたかも知れません。