がちゃがちゃと、鎖の音が耳障りな音を立てる。 ベッドに鎖で四肢を拘束されたロベリアが、効果がないことを知りつつも儚い抵抗を見せていた。言葉による抵抗は、口にかまされた轡が封じている。 「気分が出てきただろう?」 大神がランプに火を点す。仄かなオレンジ色の明かりが、ゆらゆらと揺れながら、横たわったロベリアの肢体を浮かび上がらせた。同時に、部屋の壁には自分の影が映る。シルエットでさえ、胸の頂が固く尖っているのが見て取れた。 「はぁ……はぁぁ………」 熱に浮かされるように荒い息をつく度に、巴里花組一豊満な胸は大きく上下する。 「どこもかしこも………丸見えだよ」 「んんんっ……」 大神の言葉に恥らったのか、小さくうめいて身をよじるロベリア。 「ロベリアには……鎖がよく似合うな」 そう言いながら大神が口付けたのは、鎖に絡め取られたロベリアの手首。ロベリアはぼんやりとその様子を見つめていた。 「とても綺麗だ」 ゆっくりと身体にまたがり、大神はロベリアに顔を近づけていく。組み敷かれるような体勢に、ロベリアは思わず身を震わせる。 「わかってるんだよ、ロベリア……本当はこういうのが好きなんだろ?」 大神はロベリアの鎖骨辺りに唇をつけ、強く吸った。 「ふうぅ……っ……」 身体に刻まれた大神の印が、じんじんと軽い痛みを伝えてくる。 さらに大神は、首筋にふたつ、自らの所有を示す証を刻み付ける。 「んくぅっ!」 突然、胸の辺りに鋭い痛みを感じ、ロベリアは思わず叫んだ。大神が歯を立てたのは、確認しなくてもわかった。 「んっ! んっ! んう!」 続けざまに、何度も痛みが走る。激痛ではなく、刺激を与えるためだけの、甘噛み。そんな刺激さえも、今のロベリアにとっては甘美なものとして受け入れられた。 (何でだよ、こんなのが……こんなに………) 刺激が走る度に、ロベリアは長身をくねらせ、背中を反らし、顎を跳ね上げた。 「んうううっ!!」 轡を噛まされた口元から、堪えるような声が漏れる。 視界に映るのは、大神の顔と、自分のふくよかな胸だけ。目の前で自分の胸が、大神の手によって柔らかく形を変える様を、ロベリアは見せ付けられていた。 目を逸らすことはできるのかもしれない。頭が固定されているわけではないのだから。だが、ロベリアの視線は目の前の光景をじっと見詰めていた。 「んふぅ……」 大神の人差し指が、胸の先端を軽く引っかくように弾く。それだけで、ロベリアの全意識がそこに集中する。切なげに眉を寄せるロベリア。 「んっ……んんんんんんっ……」 続いて大神は白い乳房を掌で包み、やわやわと揉みしだく。 ちゅ、と、わざと音を立てて、大神は先端の突起を口に含んだ。舌で押し潰し、転がすように舐めあげ、軽く歯を立てる。 その間に、空いた方の乳首は指で嬲られた。 「くうんっ!」 指で乳首をねじり上げられ、白い肢体が跳ねる。舌と歯に挟み潰され、痛みに身をよじる。左右の乳首を交互に責められ、ロベリアの身体は釣り上げられた魚のようにビクビクと跳ねた。 「んく! ふうっ! んふ……うくぅっ!!」 轡を伝って、唾液がだらだらと流れ落ちるが、ロベリアにそれを気にする余裕はなかった。大神はいったん乳首から口を離し、それから再び舌での愛撫を開始した。 今度は、舐めているところがロベリアに見えるように、舌を伸ばして舐め上げる。自分の乳首が舐められているところを、あからさまに見せられるだけで、ロベリアは自分でも驚くほど、興奮の高みに突き上げられた。 「んぅ……ふうぅ…………」 行為自体に、これといって特殊な点はない。が、四肢を鎖で拘束されている上体での愛撫は、異常なまでの興奮と快感をロベリアに与えていく。 「ここにも……鎖をつけるかい?」 大神はそう言いながら、ロベリアの両乳首を指で摘み上げた。一瞬、身を固くしたロベリアだったが、その目元にはすぐに、うっすらと微笑みの色が浮かんだ。 (いいよ……アンタのしたいこと……何でもしていいよ……) それは、本心だった。声に出しては言わない。それに、普段なら頭の中でさえ、そんな意識は否定しようとしただろう。 だが、今――鎖に拘束され、完全に大神の支配下にあっては、そんな意地を張ることすら馬鹿馬鹿しく思えた。 ランプの炎で炙って殺菌した細い針が、徐々にロベリアのピンク色の突起を目指して登ってくる。さすがに緊張するのか、わずかに身体を強張らせながらも、ロベリアはしっかりとその様子を見ていた。 ロベリアの乳首は先ほどまでの愛撫で、ピンピンに尖っていて、もどかしそうに震えていた。その乳首を指でそっと押さえ、大神は針の先端を近づけていく。 「………いくぞ」 「ん……」 ぷつり。針の先端が乳首の根元近くを貫く。ロベリアが息を呑む間に、針は反対側まで貫通した。想像したほどの痛みがなかったせいか、ロベリアは全身の力を抜く。 そのまま、大神は穴に小さな金属製のリングを装着する。リングには細い鎖がつながっていて、反対側の先端には同じリングがついている。 「もうひとつだから、我慢して………」 自分の乳首が大神の手によって飾られていくのを、ロベリアは小さく震えながら見守る。痛みでも恐怖でもない、不思議な満足感が胸中に広がる。 ぷつ……再び針の通る鋭い痛み。その痛みにさえ、ロベリアは歓喜した。 「できたよ……よく似合ってる……」 大神が、リングのはまった傷跡を、労わるように優しく舐める。大神の舌が動く度に、細い鎖がチャリチャリと小さく鳴った。 「これでロベリアは……俺のものだな」 大神の所有宣言。本来の彼女なら、激怒していただろう。だが…… 「んふうぅ………ふうぅん………」 ロイド眼鏡の下で、ロベリアの切れ長の目は満足そうに細められていた。 「んひゅぅ! ……ん、んくうぅぅぅ……くふん!!」 轡のために空気が漏れているような声になりながら、ロベリアは激しく身をよじる。 大神の舌が、綺麗に手入れされた腋の下を蹂躙する。全身を突き抜けるような感覚。それでも、不快なわけでもなければ、やめてほしいわけでもない。 強烈なくすぐったさから逃れようとすればするほど、大神の舌は執拗に追ってくる。 「あぐうっ……んうぅぅぅぅぅぅっ!!」 ジャラジャラと鳴る鎖の音と、ロベリアのうめき声。あまりにも異質な二種類の音が、不協和音となって室内の空気を震わせる。 「まだまだ……もっと踊ってくれよ……俺だけのために」 大神の指が、ついにロベリアの秘所に伸びた。待ちかねたように、ロベリアの腰が浮く。 (早く……早く…………早くゥッ!!!) 今一歩のところで踏み込んでこない大神の指に、ロベリアは精一杯腰を擦り付けようとする。だが、鎖に拘束された身ではそれもままならない。 溢れ出す愛液が内股をべっとりと潤ませ、シーツにこぼれ落ちては染みを広げていく。 「ふぁぁっ!」 ビクン、とロベリアの長身が跳ねた。愛液をすくい取るかのように、大神の指が秘唇をなぞった。 「んぅぅ……」 大神はたっぷりと指にすくい取った愛液を、ロベリアの薄いピンクの唇にそっと塗りつける。それだけで、ロベリアの背筋にゾクゾクとした感覚が走り抜ける。 「じゃあ、もうちょっと腰を上げて……」 大神の指示に従い、ロベリアは素直に腰を浮かせる。大神は開いたロベリアの脚の間に身体を入れ、検分するかのように見つめる。 ランプの明かりに照らされた愛液が、ぬらぬらと光って秘所を彩っていた。 「んっ……んふぅ……んううぅっ!!!」 浮かせていた腰が、さらに高く跳ね上がる。とろとろと潤んだ秘唇に、大神が口付けたのである。 (も、もう……十分じゃないかぁ……これ以上は……) 体勢を支える脚が、がくがくと震える。 大神の赤い舌は、さらに責める。音を立てて舐め上げられると、ロベリアのしなやかな肢体が引きつるように強張った。 「んひゅっ!」 びちゃびちゃと愛液とも唾液ともつかない液体を飛び散らせ、大神の舌はゆっくり、深く秘裂をえぐる。その様子は、胸の谷間越しにロベリアからもはっきりと見えた。 「んんっ! んう、んふぅっ! ふぅぅん……んっくぅっ!!」 (なんで……なんでそんなに焦らすんだよぉ………) 腰をモゾモゾさせながら、ロベリアは切なげに眉を寄せる。 (今まで、散々からかってきたから? ……仕返ししてるのか?) ツン、と乳首に引きつれるような軽い痛みが走った。 「んうっ……かふぅ……」 ロベリアが、弱々しく首を振る。苦笑しながら、大神は彼女のプラチナブロンドをそっと撫でた。 「欲しいの?」 「…………………………んぅ………」 轡を噛まされたまま、静かに肯くロベリア。 「はは………ダメだよ」 「んうぅ!!」 ロベリアの抗議。ぶんぶんと首を振り、涙までも滲ませる。「巴里の悪魔」の涙――それを大神は、満足そうに眺めた。 「冗談だよ……体勢を変えるだけだって」 大神はそう言いながら、ロベリアを拘束する鎖を解き始めた。 ランプの薄明かりの中に、白桃のように滑らかなヒップがモゾモゾと踊っていた。しっとりと汗ばみ、白い肌はうっすらとピンクに染まっている。秘唇から湧き出した愛液が、頭髪と同じプラチナブロンドの茂みを伝い、下腹部を濡らしている。 「んー、んうーぅ……」 ガチャガチャと鎖を鳴らしても、しっかりと固定されているので体勢は変わらない。 (な……なんてカッコさせるんだよ、隊長……) ロベリアの両腕は、後ろ手にまとめられていた。膝は折り曲げた状態で縛られ、尻を突き上げるようにうつ伏せでベッドに転がされている。自由を奪っているのは、鎖。 土下座する罪人のポーズだと知ったら、怒りで霊力を暴走させてしまうかもしれないほどの、屈辱的な体勢だった。 「んっ……んくぅ……んふぅ……ん……ん、んひ……」 鼻にかかったような声で、ロベリアは大神を乞う。知識はなくとも十分屈辱的な姿勢だが、その屈服感がさらにロベリアの心に火を点けていた。 ねだるように白い尻を振り、大神の侵入を待つ。しかし―― 大神は自らの怒張に手を添え、竿の部分をピッタリと秘裂にあてがう。そのまま前後にこすりつけるように動かし始めた。 「んくぅん……」 (まだ!? なんで……なんで入れてくれないんだよぉ……) 愕然とするロベリアをよそに、大神は竿をずりずりと押し付ける。怒張は秘唇をめくり、陰核をこする。が、ロベリアが本当に欲しい感覚は与えてくれない。 「んぎぃぃっ! ……うぐ、うぅぅぅぅぅ……!!」 轡を通してもわかるほど明らかな抗議の声。それに対して、大神は乳首につながった鎖を軽く引っ張ることで応じた。 「んきぃっ!」 予想しなかった部位への刺激に、切れ長の目からつう、と一筋の雫がこぼれた。 「ロベリアの涙、とても綺麗だね」 (ひどいよ、隊長……欲しいのにぃ……) 「怒ってるのか、ロベリア?」 大神はロベリアの背中に圧し掛かるように身体を伸ばし、顔を近づけて尋ねる。 「んむぅ………」 ふるふると、小さく首を振るロベリア。 (ズルイよ……アンタ相手に今さら怒れないって、わかってるくせに………) 大神は満足げに、ロベリアの耳に口付ける。 「んくァ!!」 ロベリアの顎が跳ねあがった。 耳の中で反響する口付けの音に気を取られている隙に、大神の怒張が深々とロベリアの秘所を貫いた。 「んっ……んうぅぅぅぅふうぅっ……」 最奥部まで突き込んで動きを止めると、ロベリアは大神の感触を確かめるように長い息を吐きながら、歓喜に身を震わせる。 満足そうに目を細め、焦らされた分まで味わおうとするかのように。 (あ……あ……やっと……来てくれた……) ゆっくりと、大神が動き出す。ロベリアの背中に圧し掛かりながら、後ろ手に拘束した腕を掴み、身体ごと入り込もうとするかのように、全身を大きくグラインドさせる。 「んうっ……んふ……ふぅっ……」 大神は背中からロベリアを抱きしめる。ロベリアは、後ろに回された手で、可能な限り大神の身体に触れる。 屈辱的なポーズでも、そうすれば自分と大神がつながっていることを実感できた。 それでも、やっぱり顔が見たい。何とか首を捻って、大神の方を見ようとするロベリアだったが、体勢からして思うようにはいかない。 「んふぁっ!」 突然、ロベリアの身体が後ろに引き上げられた。そのまま大神の膝の上で体制を入れ替えられ、対面座位へと移行する。 「俺も見たいからね」 大神の微笑み。引き寄せられるように、ロベリアは上半身を大神の胸板に預ける。 「んんぅん……」 大神の手が、ロベリアの身体越しに尻に伸びた。柔らかい感触を楽しむように尻の肉を揉みしだきながら、膝を使ってロベリアの身体を上下させる。 より深く侵入した怒張が、彼女を官能の高みへと引き上げていく。 「んんっ! んう! んふぅ……んくうっ!!」 口にはまった轡を噛み締めながら、快感の波を甘受するロベリア。身体を拘束する鎖がジャラジャラと、左右の乳首をつなぐ細い鎖がチャリチャリと、やかましく鳴り響く。 (すごい……すごいよ、隊長……狂っちまうよぉっ!!) 深く、強く、子宮をえぐるような動きに、ロベリアは興奮の極みへと到達しようとしていた。何度も意識が飛びそうになる。 (ダメ! もうダメ……イク……) 波に押し流されるように、ロベリアの意識に霞みがかかっていく。 (イッちゃうよぉぉっ!!!!) 「んふううううううぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」 一瞬強張ったロベリアの身体が、大きく仰け反った。拘束された状態で手足を指まで突っ張り、白い背筋と首を限界まで反らせ、絶頂感に身を浸す。 大神は、ロベリアの身体から力が抜けるタイミングを見計らって、ごろん、とベッドの上に解放すると、改めてその肢体に圧し掛かった。 「まだまだ、いくぞ?」 コクリと肯くロベリア。眼鏡の奥の瞳はトロンと霞んでいながらも、更なる快感に寄せる期待で潤んでいる。 「んくぅぅぅぅぅん!!」 大きく開いて畳んだ膝を抱え、大神は自分の体重をかけながら押し付けるように突く。溢れ返った愛液を勢いよく飛び散らせ、ちゃぷちゃぷと粘ついた音を立てる。 「んう! くふ! ふぐぅん!!」 思い通りの声を出せないのがもどかしいのか、ロベリアは大神を見つめながら首を振る。 「よしよし……外してあげるよ」 ロベリアの後頭部でベルトを外し、大神はロベリアの口から唾液でべっとりと濡れた轡を外した。 「あふ………ふうぅぅぅぅ…………あうぅん!!」 開放感に深呼吸していたロベリアを、突如として快楽が襲う。気を抜いているところを見計らって、大神が腰の動きを再開したのである。 「ああん!! そ、そんな、いきなり………はうっ!!」 抗議の声を、突き込んで押しつぶす。 「んはっ……は、はうぅぅぅん……」 普段のロベリアからは考えられないほど、か細い嬌声。そんな声をもっと引き出そうと、大神は様々な角度から秘所を責め立てる。その度に、ロベリアの潤んだ秘唇は抱きしめるように怒張を締め上げ、ヒクヒクと悦びに奮えた。 「んっ、んっ……んあぅ! はぁ……んんんんんっ!!」 ビクビクと全身を震わせて、再びロベリアが絶頂を迎える。 「た……たいちょ……」 「ロベリア……くっ!」 力んだ弾みで、ロベリアの膣内がきゅうっ、と収束し、思わず大神がうめく。 「もっと欲しいだろ? 行くぞ……」 大神は弛緩したロベリアの膝を抱え、ぐいぐいと押さえつける。膝に押しつぶされた乳房が歪み、鎖が鳴った。 「あくぅぅぅっ……」 膝立ちで深く突き入れながら、大神はさらにロベリアの頭を掴み、引き寄せた。ロベリアの眼鏡レンズに、ぬらぬらと濡れた結合部が映っている。 「み……見えるよ……アンタのが、アタシの中に入ってる……」 ゾクゾクと背筋を走る興奮。 「奥まで………突いてよ……」 ロベリアの言葉が合図になって、大神が激しい動きを再開した。 「あぁっ!! すごい! 奥までぇっ!!」 強く腰が打ち付けられる。大神の怒張が秘唇をこすり、内壁を抉り、子宮を叩く。 「はあぁっ!! あん! ひっ! やっ! はぁん!!」 耳障りな鎖の音、ロベリアの秘所が立てる粘着音、腰が打ち付けられる音、そしてロベリアの上げる声と、呼吸音。 それらすべての音を、ロベリアは霞のかかった頭の片隅で聞いていた。 「はんんっ! ん、んうっ! ひぃん!」 視界に入るのは、大神の怒張を嬉々としてくわえ込む自らの秘部。 「んぅ……いい……いいよぉ……すごい、気持ちいいよぉぉっ!!」 ボロボロと涙を溢れさせ、ロベリアが哭く。大神の身体からポタポタと流れ落ちた汗が、その涙と合流して白い肌の上を滑り落ちていく。 「ああ、俺ももう限界だよ……ロベリアの中、良すぎて……」 「ひんっ! ……た、たいちょうも……んん……」 こみ上げてくる絶頂感を、ロベリアの唇を奪うことで抑え込もうとする大神。腰の動きを止めることなく、舌でロベリアの口内を蹂躙する。唾液を流し込み、突き出させた舌を口で吸い上げた。 「ううっ……ん……んむぅ……んふぅん……」 しかし、大神の目論見とは反対に、くぐもったロベリアの声はかえって、大神を高みへと突き上げてしまった。 「もうダメ、もうダメだよぉ……またイッちゃうぅっ!!!」 「俺も……イクぞ、ロベリアっ!!」 「んはァぁぁぁぁッ!!!」 ビクビクと奮える、ロベリアの身体。彼女が絶頂を迎えたらしいことを見て、大神は自らの怒張を引き抜こうとした。ここまでくれば、抜いても大丈夫だろう。 「……っ!?」 抜けなかった。ロベリアの両腕が、しっかりと大神を抱きしめていた。 「ロベリ………くぅっ!!!」 どくん! 今さら我慢できるはずもなく、大神はロベリアの膣内に向けて放出してしまう。 「うっ………!!」 「あァ……はぁぁぁぁぁぁん………んふぅ………」 どくどくと自らの体内に広がっていく大神の精液の温もりに、ロベリアは満足そうに息を吐く。 (あったかい………あったかいよ、隊長………) 「ロ、ロベリア………」 慌てたような、困ったような表情の大神。当然の反応だろう。が、ロベリアは悪戯っぽい笑いを浮かべる。 「ふふ……手錠を外せるのは、隊長だけじゃないってこったね」 「いや、そうじゃなくて……」 「いい男は、つまらないことを気にしないもんだよ」 ロベリアは、ペロリと唇を舐めてそう言った。 ベッドに横たわったふたりは、裸のまま身を寄せ合っていた。 ロベリアの身体を拘束していた鎖は解かれて、床の上でとぐろを巻いている。 「隊長もなかなかやるねェ……まさか、ピアッシングまでするとは思わなかったよ」 「あ、いや……すまない、ちょっと調子に乗りすぎたか?」 行為の最中とは打って変わった大神の気弱な態度に、ロベリアがきょとんとした表情を浮かべ、そして笑い出す。 「フフ……ほんと……不思議な男だね、アンタ……」 小さな音をたて、大神の頬に口付ける。 そして、大神に背を向けるように寝返りを打ち、一変して重い声になる。 「アンタさ……いずれトーキョーに帰るんだろ?」 「え? あ……ああ、そうなるだろうな……」 言いにくそうに答える大神。 「でも、俺は君を……」 「待った! そこから先は言わないことだね」 背中を向けたまま、ロベリアは大神が驚くほど強い口調で告げる。 「アンタは軍人だろ? 不自由な身の上で、軽はずみなこと言うなよ」 (期待しちまうからさ……) ロベリアは、心の中でそう付け加えた。 「ロベリア………」 「さて、と! アタシはそろそろ帰るよ!」 クルリと振り向いたロベリアは、笑っていた。 月明かりの下、ロベリアは大神のアパートの屋上に立っていた。 吹く風に身を任せながら、自分の腹部に手を当てて。 「さあて………どうなることやら」 つい、と指で眼鏡を押し上げる。 世紀の大悪党――ロベリア・カルリーニは、最後の獲物を手に入れた満足感に打ち震え、大きく息を吐いた。 足下にいるであろう、愛しい男の顔を思い浮かべ、クスクスと笑う。 「さぞかし霊力が強いんだろうねェ……アタシとアンタの血を引くんだからさ」 ゆっくりと、自らの下腹部を撫でる。 ちらり、と足元に一瞥をくれたロベリアは、そのまま身を翻すと、肩で風を切るように胸を張って歩き出した。 その目に宿る光は狡猾なる銀狐――紛れもなく「巴里の悪魔」。 (しかと頂いたよ、隊長……アンタの子供を、さ!) 巴里の夜空に、楽しそうなロベリアの笑い声が木霊した。 |